
「自分は絶対に引っかからない」「怪しい電話なんてすぐに切る」と思っていても、相手は言葉巧みに人の心理を操るプロの犯罪組織です。今回は、高知市で発生したあまりにも巧妙で、そして現代的なきっかけで発覚した事件の話からです。
始まりは一本の電話。「あなたに逮捕状が出ている」
6月22日、高知市に住む30代の女性の携帯電話に、警察官を名乗る男から連絡が入りました。その内容は、あまりにも恐ろしいものでした。
「マネーロンダリング(資金洗浄)の犯人を逮捕した。その男の所持品からあなた名義のキャッシュカードが見つかったため、あなたにも逮捕状が出ている」
身に覚えのない罪、そして「逮捕」というパワーワード。パニックになる女性を追い詰めるように、犯人グループはさらに罠を仕掛けます。
相手が「本物の警察官」に見えてしまう巧妙な手口
女性が疑いを持てなかった背景には、警察を完全に演じ切る犯人側の「劇場型」の手口がありました。
- 偽の逮捕状を提示: SNSを使って、本物そっくりの「逮捕状」の画像を見せつける。
- ビデオ通話での演出: 相手は警察の制帽のようなものと青い服(制服風)を着用し、画面越しに「警察手帳らしきもの」を提示。
- 「無罪の証明」を要求: 「疑いを晴らすには、現金を送って紙幣番号を調べる必要がある」と言葉巧みに誘導。
女性は信じ込んでしまい、指示されるがまま複数の暗号資産口座を開設。ネットバンキングやATMから、なんと12回にわたって計約630万円を送金してしまったのです。
被害に気づいたきっかけは「生成AIへの相談」
大金を送り、ふと冷静になった女性は「何かがおかしい」と不審に思い始めます。そこで彼女が取った行動が、今の時代を象徴していました。
家族や警察ではなく、「生成AI」に一連の出来事を相談したのです。
AIの返答は非情な現実を告げるものでした。「それは詐欺です」。 この言葉でハッと我に返った女性が警察に相談したことで、ようやく被害が発覚しました。もしAIへの相談がなければ、さらに被害額は膨らんでいたかもしれません。
2026年、特殊詐欺の被害は過去最悪レベルに
実は同様の被害は後を絶ちません。同じく6月には、高知県内の60代男性が同様に「逮捕状が出ている」と脅され、キャッシュカードを郵送させられて200万円を街中で引き出される事件も起きています。
高知県内だけでも、2026年に入ってからの特殊詐欺被害は77件、被害額は約5億5,300万円にものぼっています。
絶対に覚えておいてください。
🚨 警察官は絶対にこんなことはしません!
- 電話やSNSでキャッシュカードの郵送を指示することはありません。
- 無罪を証明するため、口座凍結を防ぐため、といった理由で送金を要求することは100%ありません。
おわりに:怪しいと思ったら、まずは身近な人や「#9110」へ
今回の事件、客観的に見れば「どうして気づかなかったの?」と思うかもしれません。しかし、ビデオ通話で制服姿の相手から「逮捕する」と脅されたら、誰だって正常な判断力を失ってしまいます。
今回はAIが引き止め役になりましたが、一番確実なのは「お金の話が出た時点で電話を切り、警察や家族に相談すること」です。
- 警察専用相談電話:「#9110」
明日は我が身です。みなさんも、大切な家族や友人を守るために、この手口をぜひ共有してください。
Let’s redoing!
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