
「あの広告、怪しいな…」
FacebookやInstagram(メタ社)、X(旧Twitter)、YouTubeなどをスクロールしていると、誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。「明らかに儲かりすぎる投資話」「あやしい健康食品」「有名ブランドの完全コピー品」。それらは、多くの場合、私たちの直感が正しく、詐欺や販売禁止品を誘い込む「不正広告」 です。
この「怪しい広告」が、実はSNS巨人の収益構造に深く組み込まれ、巨額の収入を生み出している——。そんな衝撃的事実を、ロイター通信がメタの内部文書に基づいて報じました。
ロイター報道が明らかにした「知られたくない数字」
報道の核心は、メタが内部で行っていた推定値です。
- 約160億ドル(約2兆4500億円): 詐欺や禁止品などの不正広告による2024年の売上高。これはメタの総売上の約1割に相当する莫大な金額です。
- 1日150億件: 自社プラットフォーム上で表示していると推定される詐欺広告の数。
- 「削除すれば事業に影響」: 最も深刻なのは、内部文書が「これらの不正広告を本格的に削除すれば、事業に悪影響が出る」と懸念を示していた点です。
つまり、SNS巨人は「この広告はユーザーを欺き、社会に害を与えるものだ」と認識しながらも、その広告が生み出す巨額の収入と、それを削除することによる業績への打撃を天秤にかけ、事実上、野放しにしている側面があるのではないか、という疑念が浮上するのです。
不正広告の具体的な中身とは
メタが測定対象とした「不正広告」には、具体的に以下のようなものが含まれています。
- 詐欺的EC: 商品を注文しても届かない、または明らかに粗悪な模造品が届くといった詐欺サイトへの誘導。
- 投資スキーム: 「わずかな元手で莫大なリターン」を謳う、いわゆるネズミ講や虚偽の投資話。
- 違法なオンラインカジノ: 法律で禁止されているギャンブルサイトへの勧誘。
- 禁止されている医薬品: 未承認の医薬品や処方箋なしで販売される薬物の広告。
これらは、私たちの財産や健康を直接脅かす、まさに「デジタル社会の毒」です。
これはメタだけの問題ではない。X、YouTubeなど全SNSに通じる構造
このブログの冒頭で、あえて「メタだけではなく」と断ったのには理由があります。ロイターの報道はメタに焦点を当てていますが、この問題の本質は、「広告収入を生命線とするすべてのSNSプラットフォームに共通する構造的問題」 だからです。
- X(旧Twitter): 運営体制の変化に伴い、怪しい金融案件や偽ブランド広告が増えたという指摘は後を絶ちません。
- YouTube: 巧妙に仕組まれた投資詐欺の動画広告や、不当請求を誘発する「フリーミアム」ゲーム広告などが問題視されています。
どのプラットフォームも、AIによる自動審査と人間による手動審査を組み合わせて不正広告の排除に努めていると主張しています。しかし、メタの内部文書が示す通り、「完全な排除」は、そのまま「収益の大幅な減少」を意味するのです。このジレンマが、プラットフォームの本気度にブレーキをかけている可能性は否定できません。
私たちユーザーにできること:騙されない、そして「通報」する
プラットフォーム任せにしていては、この問題は解決しません。私たちユーザーが自衛し、同時に声を上げることが不可欠です。
- 「怪しい」という直感を信じる: うますぎる話には必ず罠があります。「簡単にお金が稼げる」「驚異的な効果がある」といった文言には最大級の警戒を。
- 広告主の正体を確認する: 広告をクリックした先のサイトが、しっかりとした企業情報(所在地、電話番号など)を開示しているか確認しましょう。不明瞭な場合は即刻離脱を。
- 絶対に「通報」機能を使う: どのSNSにも広告に対して「不適切」「詐欺の疑い」を通報する機能があります。これは単なる自己満足ではなく、プラットフォームに「この広告は問題だ」というデータを送り、改善を促す重要なアクションです。面倒がらずに、ぜひ実行してください。
まとめ:プラットフォームの「覚悟」が問われる時代
ロイターの報道は、SNSが私たちの生活に深く浸透した現代において、プラットフォーム運営会社の倫理観と利益追求の間にある、巨大な葛藤を白日に晒したと言えるでしょう。
「コミュニティの保護」を謳いながら、そのコミュニティを蝕む広告から多額の収入を得ている——。この矛盾とどう向き合うのか。ユーザーの信頼を真に重視するのであれば、短期的な収益の一部を削ってでも不正広告を徹底排除する「覚悟」が、今、すべてのSNS巨人に問われています。
私たちユーザーは、ただ騙されない消費者であるだけでなく、この問題に対して「通報」という形で意思表示できる主体です。プラットフォームの透明性と責任ある運営を求め続けることが、より安全なデジタル空間を作る第一歩なのです。
Let’s redoing!
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