近年、日本では外国人による組織的な万引き犯罪が急増しています。特に目立つのがベトナム人グループによる犯行で、単独ではなく複数人で協力し、計画的な手口で高額な商品を盗むケースが相次いでいます。この問題について、現状と企業の対策、今後の課題を詳しく解説します。
1. 外国人グループによる万引きの実態
（1）組織的な犯行とベトナム人グループの関与
- 国際的な犯罪ネットワークの存在
最近の万引き事件では、海外から指示を受けたグループが日本で犯行を繰り返すケースが目立ちます。例えば、大阪で逮捕されたベトナム人女性3人は、国内の指示役から「万引きをすれば報酬がもらえる」と誘われ、複数のユニクロ店舗で計1,230万円相当の商品を盗んでいました。 - 報酬目的の犯行
犯行グループは1回の渡航で17～21万円の報酬を得ており、「3カ月分の生活費が手に入る」と供述しています。このように、万引きが「仕事」として認識されていることが問題です。
（2）警察統計から見る外国人犯罪の傾向
警察庁のデータによると、万引きで摘発された外国人の中で、ベトナム人が50～70％を占めています。彼らはグループで行動し、防犯カメラを避けながら効率的に商品を盗む傾向があります。
2. 企業の対策～民事賠償請求の強化～
（1）ユニクロを展開するファーストリテイリングの対応
- これまで万引き犯は「逮捕されても刑事罰のみ」で終わることが多く、企業は商品の損失を被るだけでした。
- しかし、同社は2024年から民事訴訟を含む損害賠償請求を強化。盗まれた商品代金だけでなく、警察対応にかかった人件費なども請求する方針です。
（2）書店チェーン「三洋堂」の事例
- 同社は20年前から万引き犯への賠償請求を実施し、不明ロス率を1.1％→0.5％に削減しました。
- 請求対象は商品代金だけでなく、従業員が警察対応で拘束された時間の「分単位の人件費」まで含まれます。
3. 業界全体の課題と今後の対策
（1）年間3,460億円の被害、しかし賠償請求は1割未満
- 全国万引犯罪防止機構の調査では、万引き被害の年間総額は約3,460億円と推計されています。
- しかし、実際に賠償請求を行う企業は10％未満。理由として「手続きが煩雑」「費用対効果が見えにくい」といった声が挙がっています。
（2）国際的な犯罪ネットワークへの対策が必要
- ベトナム人グループの背後には、海外の犯罪組織が関与している可能性があります。
- 企業単独の対策には限界があるため、警察・業界団体・国際捜査機関の連携が不可欠です。
4. まとめ～今後の見通し～
- 外国人グループによる万引きは「単なる窃盗」ではなく、国際的な犯罪ビジネスとしての側面を持っています。
- 企業は防犯カメラの増設や民事請求の強化で対策を進めていますが、根本的な解決には入国管理の厳格化や国際協力による組織摘発が必要です。
- 今後、他の小売業界も賠償請求を増やす動きが広がる可能性があり、万引き抑止の効果が期待されます。
読者のみなさんへ
万引きは「軽い犯罪」と思われがちですが、実は小売業界に大きな打撃を与えています。私たち消費者も、不審な行動を見かけたら店員に伝えるなど、協力できることがあります。安全な買い物環境を守るため、社会全体で対策を考えていく必要があるでしょう。
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