先日、『ニューズウィーク日本版』で大阪・関西万博に関する外国人からの厳しい評価が報じられた。その内容は、万博の「デジタル化の遅れ」を指摘するもので、「未来の超スマート会場」というコンセプトとは真逆の、時代遅れの運営」が批判されている。
支払いシステムの非効率さ、パビリオンやチケット予約の煩雑さ、わかりにくいマップ……。これらは、万博が掲げた「先端デジタル技術で未来を先取りする」という理念からは程遠い現実だ。さらに問題なのは、組織的な混乱により迅速な改善ができない点で、これは「今の日本政治そのもの」と評されている。
そして記事の締めくくりは、より辛辣だ。
「理念もリーダーシップもなく、想像力・共感力も、問題を即座に修正する機動力もない。テクノロジーは他国に周回遅れ。今の政府にもよく当てはまる話ではないか。政治不信の海を漂流する日本政治より、大阪万博に救いがある点は、10月には終わることである。」
つまり、万博の唯一の救いは「いつか終わること」だというのだ。
万博が露呈した日本の「デジタル敗戦」
今回の万博で特に指摘されているのは、キャッシュレス決済の不備や予約システムの非効率性だ。訪日外国人（特に欧米やアジアのデジタル先進国の観光客）からすれば、QRコード決済が限定的で、クレジットカード対応が不十分なのは「信じられない」レベルだろう。
中国ではAlipayやWeChat Pay、韓国ではKakao PayやToss、欧米ではApple PayやGoogle Payが当たり前の時代に、日本はまだ現金依存から抜け出せていない。万博のような国際イベントでさえ、「日本のデジタル後進性」を世界にさらけ出してしまった。
さらに、パビリオン予約の煩雑さやリアルタイム情報の不足も不評だ。海外のメジャーなテーマパークやイベントでは、専用アプリで待ち時間や予約状況を即時確認できるのが当たり前。しかし、万博のシステムは「一昔前のデジタル技術」で、外国人観光客にとっては使いづらいものだったようだ。
「組織的な混乱」と日本政治との相似
記事では、「組織化ができていないため修正が効かない」という点が強調されている。これは、日本の官僚主義や縦割り行政を彷彿とさせる。
万博の運営体制は、各省庁・自治体・民間企業の調整不足で、迅速な意思決定ができない。例えば、入場者の不満が上がっても、システム改善に時間がかかる。これは、デジタル庁の迷走やマイナンバーカード問題と構造が同じだ。
日本政府は「デジタル化推進」を掲げながら、実際には旧態依然のシステムに縛られている。万博の混乱は、日本の行政や政治の在り方そのものを象徴していると言える。
「終わりがあること」が唯一の救い？
記事の最後の一文は痛烈だ。
「政治不信の海を漂流する日本政治より、大阪万博に救いがある点は、10月には終わることである。」
つまり、日本の政治には「終わり」すら見えないが、万博は半年で終わるからまだマシ、という皮肉だ。
確かに、万博は一時的なイベントであり、失敗しても「やり直しが効く」部分はある。しかし、日本のデジタル化や行政改革は、このままでは何も変わらない。
万博は日本の未来を映す鏡
大阪万博の問題は、単なる一イベントの失敗ではなく、日本の構造的問題の表れだ。
- デジタル化の遅れ
- 縦割り組織による意思決定の遅さ
- リーダーシップの欠如
- 外国人視点の欠けたサービス設計
これらは、日本の観光立国戦略・経済成長・国際競争力にも直結する課題だ。
もし日本が本当に「未来を先取りする国」を目指すなら、万博の失敗を単なる「イベント運営のミス」で終わらせてはいけない。
「このままでは、日本は世界からさらに周回遅れになる」——
そんな危機感を、大阪万博は私たちに突きつけている。
Let’s redoing!
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