最近、小学生のサッカーチームにおいて「練習はするが試合に出られない子どもが2割もいる」という報道がありました。8人制の試合形式や短い試合時間の中で、全員に出場機会を与えることが難しい現実が浮き彫りになっています。しかし、海外ではサッカーに限らず、どのスポーツでも「全員が試合に出る」ことが当たり前。この違いはどこから生まれるのでしょうか？
日本の現状：出場機会の格差と「勝つこと」の重圧
日本の少年サッカーでは、8人制・40分（20分ハーフ）の試合形式が主流です。交代人数に制限はないものの、短い時間で「勝ち」を追求するあまり、技術の高い子や体力のある子ばかりが起用されがち。その結果、「練習はするが試合に出られない」子どもが5分の1も生まれています。
特に小学生年代は、サッカーの楽しさを実感するために「試合でプレーする経験」が不可欠です。にもかかわらず、ベンチでずっと見学している子どもがいる現状は、スポーツの本来の目的から大きく外れていると言わざるを得ません。
海外の事例：全員が出場し、楽しむ文化
一方、欧米や他のスポーツ先進国では、「全員が試合に出る」ことが大前提です。サッカーでも、チームを複数編成し（Aチーム、Bチームなど）、レベルに応じた試合を組むことが一般的。例えば：
- ドイツやオランダでは、小学生年代から「全員出場ルール」を採用し、監督は平等に時間を配分。
- アメリカの少年スポーツでは「勝利」より「参加と成長」が重視され、リーグ戦でも全員がローテーションで出場。
「勝つこと」よりも「スポーツを楽しむこと」が優先される環境では、子どもたちは自主的に練習に励み、長期的に競技を続ける意欲も育まれます。
なぜ日本では「全員出場」が難しいのか？
- 勝利至上主義の根強さ
- 保護者や指導者が「勝つこと」にこだわりすぎる傾向があり、試合で使える選手が固定化されがち。
- 試合時間と人数の制約
- 8人制で40分という短い試合では、全員に均等な時間を与えるのが物理的に難しい。
- 「強者優先」のメンタリティ
- 「上手い子を試合に出せば勝てる」という短期的な発想が、子どもの成長機会を奪っている。
どうすれば全員が試合に出られるのか？
- チームを複数編成する
- Aチーム、Bチームに分け、それぞれが別の試合に出場できるようにする。
- 試合時間や形式の柔軟な変更
- 例えば、20分×3ピリオド制にし、各ピリオドでメンバーをローテーションする。
- 指導者と保護者の意識改革
- 「勝ち負け」より「全員が楽しむこと」を優先する文化を作る。
- 試合に出られない子へのフォローを徹底し、モチベーションを維持させる。
スポーツは「楽しむもの」という当たり前を
サッカーに限らず、少年スポーツの目的は「勝利」ではなく、「子どもたちが楽しみながら成長すること」です。日本でも、「全員が出場し、全員が楽しめる」 システムを早急に整える必要があります。
「試合に出られなかった」という悔しさでサッカーを辞める子どもをなくすためにも、指導者や保護者は「勝つこと」より「子どもの笑顔」を最優先に考えてほしい。スポーツの本当の価値は、そこにあるはずです。
「全員が試合に出て、全員が笑顔で帰る」——そんな当たり前の光景が、日本の少年サッカーでも当たり前になる日を願って。
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