
近年、急速に普及した新NISA制度により、資産形成に関心を持つ人が増えています。しかし、その裏で巧妙化する投資詐欺の被害も拡大しています。
警察庁が公表した最新データによると、2026年1〜8月のSNS型投資詐欺による被害額は937.4億円に達し、前年同期比で約1.5倍に増加しました。
この記事では、公表された最新の統計データをもとに「SNS型投資詐欺の実態」を解き明かし、安心して資産形成を行うために知っておきたい「新NISAの基本と注意点」を詳しく解説します。
1. 数字で見る「SNS型投資詐欺」の深刻な被害状況
警察庁の統計(2026年8月末時点の暫定値)によると、特殊詐欺全体の被害額は2360.7億円に上り、そのうちSNS型投資詐欺が約4割(937.4億円)を占めています。手口別の被害額では、ニセ警察詐欺(728.6億円)やSNS型ロマンス詐欺(325.8億円)を抑えて最多となっています。
認知件数は7,097件となり、前年同期と比べて2,347件(49.4%)増、被害額は328.0億円(53.8%)増と大幅な増加傾向が続いています。
中高年世代(50代・60代)がターゲットに
2026年上半期(1〜6月:認知件数5,893件、被害額797.9億円)の年代別データを見ると、特定の世代に被害が集中的に発生していることがわかります。
- 年代別の認知件数(2026年上半期)
- 10代以下:11件
- 20代:271件
- 30代:562件
- 40代:1,003件
- 50代:1,605件(最多)
- 60代:1,518件
- 70代:739件
- 80代以上:182件
認知件数では50代が最多で、前年同期(746件)の2倍以上に急増しています。また、50代と60代を合わせると全体の53.0%(件数)、被害額の59.5%を占める結果となっています。 なお、年代別の被害額では60代が274.9億円と最も高く、次いで50代(199.3億円)、70代(132.4億円)の順となっています。
詐欺のきっかけは「バナー広告」、やりとりは「LINE」
犯行の手口においても明確なパターンが存在します。
- 最初の接触手段:
- バナー等の広告:2,330件(39.5%)
- ダイレクトメッセージ:1,698件(28.8%)
- 投稿:1,457件(24.7%)
- 最初に接触したツール:
- 1位:Instagram(1,403件)
- 2位:X / 旧Twitter(677件)
- 3位:LINE(631件)
- その後のやりとりで使われた連絡ツール:
- LINE:5,658件(全体の96.0%)
SNS上の広告や投稿で興味を惹き、ダイレクトメッセージを通じてコンタクトを取った後、やりとりをLINEへ移行させて資金を騙し取るという流れが定着していることが数字から浮き彫りになっています。
2. 新NISA(少額投資非課税制度)の基本をおさらい
投資詐欺に惑わされないためにも、正しい資産運用の仕組みを把握しておくことが重要です。
2024年に改正された「新NISA」は、投資で得られた運用益が非課税になる制度です。従来の制度に比べて年間投資枠や非課税保有期間が大幅に拡充されました。
- 年間投資枠:
- つみたて投資枠:年間120万円まで
- 成長投資枠:年間240万円まで
- 合計:最大で年間360万円まで併用可能
- 生涯非課税保有限度額:
- 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- 非課税保有期間:無期限
- 口座開設:1人1口座(金融機関または銀行などで開設)
「つみたて投資枠」で購入できる商品は、金融庁が定めた基準(長期・積立・分散投資に適した条件)を満たした一定の投資信託およびETFに限定されています。
3. つみたて投資枠のインデックス投信選びで「避けたい5つの失敗」
金融庁の基準を満たした対象商品であっても、自分自身で内容を理解して選択する必要があります。広告や人気ランキングだけに頼らず、次の5点に注意して商品を選びましょう。
- 信託報酬(運用コスト)を見比べずに選ぶ
- 保有期間中に引き落とされるコストです。同じ指数(インデックス)に連動する商品であれば、信託報酬などの保有コストがより低いものを選ぶのが基本です。
- 広告やランキングの「人気」だけで選ぶ
- 目論見書を確認し、連動する指数や投資先の国・資産を理解した上で選びましょう。
- ひとつの国・地域やテーマに集中しすぎる
- 特定の国や業種だけに偏ると、その分野の経済変動による影響を過大に受けるリスクが高まります。
- 短期の値動きに揺さぶられて売買を繰り返す
- 投資信託の値下がり時に焦って売却や積み立て停止を行うと、時間を味方につける「積立分散投資」のメリットが損なわれます。
- 中身が類似している投資信託をいくつも重複して持つ
- 名称が異なっていても連動する指数が同じであれば、投資内容の大半は重なります。保有前に投資先が重複していないか確認しましょう。
4. 新NISAを利用する際の「2つの注意点」
制度を活用する上で、以下のデメリットや制限についても正しく理解しておくことが大切です。
- 元本割れのリスクと税務上の制限
- 投資信託には価格変動があり、元本を下回る可能性があります。また、NISA口座で発生した損失は、課税口座(特定口座・一般口座)の利益と相殺する「損益通算」や、翌年以降へ損失を繰り越す「繰越控除」の対象外です。
- 非課税枠の再利用は「翌年以降」
- 保有している商品を売却した場合、その商品の簿価(取得金額)分の非課税枠が復活します。ただし、復活した枠を利用できるのは売却した翌年以降であり、同一年内には再利用できません。
まとめ:騙されないために自分で確かめる姿勢を
SNS型投資詐欺の被害拡大が続く中、著名人を装った広告や「必ず儲かる」といった甘い誘い文句による被害が増えています。
健全な資産形成において、他人の勧めやSNSのメッセージに判断を委ねることは危険です。新NISAで投資を行う際は、必ず自分自身で選択した正規の金融機関口座を通じて手続きを行い、商品内容やリスクを納得した上で運用を進めましょう。
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