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「日本の平均年収は約460万円」——ニュースでこんな数字を耳にするたびに、「え、本当?周りにそんなに稼いでいる人なんてほとんどいないけど……」と感じたことはありませんか?

実はこの感覚、統計的に見てもまったく正常なのです。むしろ「平均年収」という数字のカラクリを理解していないと、現実を大きく見誤ってしまうかもしれません。

平均年収の実態:33.8%しか超えていない現実

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は459万5000円でした。内訳は平均給与・手当が388万1000円、平均賞与が71万4000円です。

しかし、ここで重要なのは、この「平均年収」を実際に超えている人の割合です。驚くべきことに、たったの33.8%しかいません。つまり、10人に3人程度しか平均以上の収入を得ていない計算になります。大多数の7割近くの人は、この平均値に届いていないのです。

なぜ「平均」が実感とずれるのか?~平均値の落とし穴~

「平均」というと、多くの人が「真ん中の値」「半数はこれ以上で半数はこれ以下」とイメージしがちです。しかし、統計学上の「平均値」は全員の年収を合計して人数で割ったもの。ここに大きな落とし穴があります。

例えば、10人のグループで考えてみましょう。
9人の年収が300万円でも、1人が5000万円の年収を得ている場合、平均年収は約770万円になります。このように、ごく一部の高額所得者が極端に平均値を引き上げてしまう現象が起きるのです。

日本の場合、超富裕層や大企業の経営者層などの高額所得者の存在が、全体の平均を押し上げています。つまり、平均年収459万円という数字は、大多数の実態よりも高く見積もられた数値というわけです。

実感に近い「中央値」は400万円前後

では、大多数の実態に即した数字は何か?それが「中央値」です。中央値は、全員の年収を低い順から並べたときに、ちょうど真ん中に来る人の金額。極端な高額所得者の影響を受けないため、より「一般的」な指標と言えます。

厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、年収の中央値は335万7600円(賞与含まず)でした。賞与の中央値は平均より低いと考えられるため、おそらく年間70万円以下。これらを合計すると、実際の年収の中央値は約400万円前後になると推計できます。

つまり、「普通の人の普通の年収」は400万円前後というのが現実的な見方なのです。

データの読み方:平均だけを見ていませんか?

このように、平均年収という数字だけを見ていると、実態を見誤ってしまいます。私たちが給与や経済状況を考えるときは、

  1. 平均値(一部の高額所得者に引き上げられた値)
  2. 中央値(実態に即した「普通」の値)
  3. 分布(どの年収層に人が集中しているか)

の3点をセットで見ることが重要です。

今回の調査でも、分布の中心は「300万円超~400万円以下」の層に集中しています。つまり、あなたの周りに多いのも、おそらくこの層の人々。平均年収459万円を超えている人は少数派だからこそ、「周りにいない」と感じるのは当然なのです。

二極化が進む社会で正しく情報を読む力

この現象は、単なる統計の話ではありません。現在の日本では確実に経済的な二極化が進んでいます。平均値と中央値の乖離は、そのことを如実に物語っているでしょう。

「平均年収」という一つの数字だけが独り歩きし、それによって「自分は足りていない」と不安を感じたり、誤った自己評価を下したりするのは避けなければなりません。

メディアや政府の発信する数字を鵜呑みにするのではなく、その背景にある統計の意味を自分で読み解く力——。そうした情報リテラシーが、これからの時代にはより一層求められていくのではないでしょうか。

数字の真実を正しく理解し、自分自身の生活や将来設計に役立てていきたいものです。

Let’s redoing!

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