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「秋山桜子」という名の罠——大阪で発生した史上最高額のSNS型ロマンス詐欺

大阪府警が13日に発表した、府内在住の60代男性がSNS型ロマンス詐欺で約4億4000万円もの被害に遭った事件。ショッピングモールで計約22キロの金塊を犯行グループに手渡したというから、その大胆さにも驚かされる。

この被害額は、大阪府内で今年発生したSNS型ロマンス詐欺では最高額になるという。

巧妙に仕組まれた詐欺の手口

事件の概要はこうだ。

今年7月、男性のSNSアカウントに「秋山桜子」と名乗る人物からメッセージが届く。

「あなたのような人に会えてうれしい。
会うシーンを楽しみにしています。
これからすてきな毎日を過ごしましょう」

そんな好意を示すメッセージとともに、金の投資話が持ちかけられた。

その後、男性のもとには「金投資の指導スタッフ」を名乗る人物から投資資金の振り込み依頼が。男性は現金や暗号資産など計約4350万円相当を振り込んだ。

さらに男性は指示に従い、貴金属店で金塊を購入。自宅近くのショッピングモールで6回にわたり金塊を手渡したという。その総量は約22キロ、約4億円相当にのぼる。

SNSに見る「被害者批判」という二次被害

事件が報道されると、SNS上では早速もっともらしい“分析”が飛び交った。

「騙される方も悪い」
「なぜそんなに気づかなかったのか」
「常識があれば防げたはず」

そうしたコメントの数々は、一見すると理性的で批判的な思考に基づいているように見える。しかし、これらはプロの詐欺師一般人を同じ土俵に上げようとする、極めて無慈悲で非現実的な見方なのである。

詐欺師は「プロ」、被害者は「一般人」という現実

私たちが認識すべきは、これらの特殊詐欺グループが心理学と対人操作技術に長けたプロフェッショナルであるという事実だ。

彼らは組織的に役割分担し、時には数ヶ月かけてゆっくりと信頼関係を構築する。人間の心理の隙間を知り尽くし、親密感と信頼感を巧みに演出する技術を持っている。

「なぜ警察に相談しなかったのか」という疑問も見かけるが、まさにその「警察に相談する」という発想自体が、詐欺師によって巧妙に排除されているのである。彼らは被害者が外部に助けを求めることを恐れ、それを防ぐための言葉巧みな脚本を準備している。

私たちにできること——批判ではなく理解と予防を

この事件を「他人事」としてではなく、誰にでも起こり得る現実として捉える必要がある。

詐欺師の手口は日々進化しており、私たちの「常識」や「思い込み」を逆手に取ってくる。むしろ「自分は大丈夫」という過信こそが、最大の危険なのかもしれない。

被害者を批判するエネルギーを、周囲の高齢者への注意喚起や、特殊詐欺の手口を知らしめる活動に回す方が、はるかに建設的ではないだろうか。

もし身近な人から急に投資話や高額な取引の相談を受けたら、まずは「それ、大丈夫?」と一声かける。たったそれだけのことが、大きな被害を防ぐ第一歩になる。

Let’s redoing!

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