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最近、警察の特殊詐欺グループに対する摘発が相次いでいますね。「また逮捕か…」とニュースを見て感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、一つ一つの逮捕の裏側には、私たちの生活を脅かす巧妙で組織的な犯罪の実態があります。

先日報じられた、警視庁による大規模な特殊詐欺グループの摘発は、その規模と手口の専門性において、まさに「特殊詐欺の現代版」を示す事例でした。この事件から、何を学び、どう身を守れば良いのかを考えてみたいと思います。

「アンカー」「サード」「ファースト」… 分業化された犯罪組織

今回逮捕されたのは、グループのトップとされる高橋宗正容疑者(40)を含む男7人。このグループは、「あなたの口座が不正利用されている」 などと銀行協会職員を装って電話をかけ、キャッシュカードや現金をだまし取ったとされています。

驚くべきはその組織の緻密さです。

  • ファースト:実際に現金を受け取る「受け子」やカードを預かる「出し子」。
  • セカンド:詐取した現金を運ぶ「運搬役」。
  • サード:現場に指示を出す「指示役」や「回収役」。
  • アンカー:グループの頂点に立つトップ。

このように、各メンバーがコードネームで呼ばれ、役割が厳密に分けられていました。さらに、連絡には秘匿性の高い通信アプリを使用。末端の「ファースト」は上のメンバーの顔を知らないことも多く、逮捕が難しくなるように設計されていたのです。

22億円、500件… その巨大な被害の実態

このグループが関与したと見られる被害は、わかっているだけでも1都3県で500件、被害総額は22億円を超えるとされています。これは、多くの方の老後の蓄えや生活の基盤を奪い去ったことに他なりません。

逮捕容疑の一つである埼玉県新座市の80代女性への被害は、たった一度の電話で現金400万円がだまし取られたというもの。この数字は、ひとりひとりの被害が如何に大きく、人生を揺るがすものであるかを物語っています。

また、警察の調べでは、だまし取られた現金は暴力団に流れていたと見られています。特殊詐欺が、単なる「ずる賢い犯罪」ではなく、組織的な資金源として利用されているという、恐るべき実態が浮かび上がります。

SNSで募集される「役割」と、はめられる若者たち

もう一つの現代的な特徴は、SNSを通じてメンバーが募集されていた点です。「簡単に高収入」「バイト募集」などの甘い言葉に誘われ、知らず知らずのうちに犯罪の片棒を担がされてしまうケースが後を絶ちません。

「ファースト」や「セカンド」として逮捕されるのは、多くの場合、将来のある若者たちです。彼らは「軽い気持ち」で手を染め、一生を台無しにする重大な犯罪に加担している自覚がないことも少なくありません。犯罪グループは、こうした人々を巧みに利用し、自らは「アンカー」として表舞台に出ないようにしているのです。

警察の努力と、それでもなお続く戦い

これまでにこのグループに関しては、受け子や出し子など計29人が逮捕されています。今回の「アンカー」や「サード」といった上層部の逮捕は、警察の粘り強い捜査の成果と言えるでしょう。カンボジアで邦人が拘束されたという別のニュースも、国外に逃げ場を求める犯罪者に対する国際的なネットワークが強化されている証左です。

しかし、一つのグループが壊滅しても、また新たなグループが現れるのが現実です。私たちは、警察の努力に頼るだけでなく、自衛の意識を常に高めておく必要があります。

私たちが今すぐできる、たった一つのこと

では、どうすれば良いのでしょうか? 対策は様々ありますが、最も大切な核心はただ一つです。

「公的機関や金融機関を名乗る者から、『お金』や『キャッシュカード』の要求があれば、それは100%詐欺だと疑う」

この一点を、ご自身の中でも、ご家族の中でも、特に高齢のご親族に対しても、徹底してください。

  • 銀行や警察、役所が、電話一本でキャッシュカードや現金を回収することは 絶対にありません
  • 「口座の保護」や「暗証番号の変更」を名目に、カードや暗証番号を聞き出すことは 絶対にありません
  • 少しでも怪しいと思ったら、すぐに電話を切り、ご自身で公式の電話番号から該当機関に問い合わせてください。

「もしかしたら本当かも…」という一瞬の不安や善意につけ込むのが、詐欺師の手口です。その「一瞬」を「絶対にない」という確信に変えることが、何よりも強力な防御になります。

今回の逮捕劇は、司法がこうした犯罪と戦っているという希望であると同時に、犯罪がより巧妙化・組織化しているという警告でもあります。ニュースを他人事と思わず、自分事として捉え、ご家族で話し合うきっかけにしていただければと思います。

Let’s redoing!

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