
ついに全国すべての都道府県で最低賃金が1000円を超え、全国平均は1121円に達すると厚生労働省が発表しました。引き上げ額66円は過去最大で、中央最低賃金審議会の目安額を上回る39道府県があり、最低賃金引き上げが加速していることがわかります。
地域格差是正と全国1000円超えの意味
今回の改定では、地域間格差是正も進みました。最高の東京(1226円)と最低の高知、宮崎、沖縄(1023円)の差は203円で、前年度の212円から縮小しています。これは経済力の弱いCランク地域の引き上げ額が大きかったためで、地方の人材確保競争が背景にあると見られます。
すべての都道府県で最低賃金が1000円を超えたことは確かに歴史的な節目です。長年課題とされてきた「全国どこでも時給1000円」がようやく現実となりました。
国際比較で見える日本の遅れ
しかし、国際比較の視点で見ると、日本の最低賃金は依然として大きく遅れているのが実情です。
- 韓国: 2024年現在、最低賃金は9860ウォン(約1180円)
- ドイツ: 12.41ユーロ(約1980円) – 2024年1月改定
- フランス: 11.65ユーロ(約1860円)
- アメリカ: 州によって大幅に異なるが、カリフォルニア州(16.00USD/約2400円)、ニューヨーク州(15.00USD/約2250円)など主要州でははるかに高い
日本はようやく韓国並みの水準に達したものの、欧米主要国と比較すると約1.5~2倍の開きがあります。
物価高と実質賃金の減少
さらに深刻なのは、実質賃金の観点です。
- 社会保険料や税金を差し引いた手取り額はさらに少ない
- 最近の物価上昇、特に主食の米価格は昨年の1.5倍、一昨年の2倍以上に高騰
- 光熱費や食料品全般の値上がりが家計を圧迫 nominalな賃金上昇はあっても、物価上昇を考慮した実質ベースでは、むしろ購買力が低下している可能性があります。
なぜ政治家には「焦り」がないのか
このような状況にもかかわらず、政治の対応が鈍いように見える理由はいくつか考えられます。
- 雇用者側の圧力: 中小企業を中心に、急激な賃金上昇への懸念が強い
- 経済政策の優先順位: 賃金問題よりも成長戦略や財政再建を優先する傾向
- 国際比較の認識不足: 日本の賃金水準が国際的に大きく遅れていることの深刻さを十分に認識していない
- 賃金と物価の連動メカニズムの欠如: 物価が上昇しても自動的に賃金が上昇する仕組みがない
求められる抜本的な対策
単なる最低賃金の引き上げだけでなく、以下のような総合的な対策が必要です。
- 物価スライド制の導入: 物価上昇に応じて賃金が自動調整される仕組み
- 税制・社会保障の見直し: 可処分所得を増やすための減税や社会保障負担の軽減
- 地域経済の強化: 最低賃金引き上げを持続可能にするための地域産業の競争力強化
- 国際水準を意識した賃金戦略: 海外の賃金動向を継続的に監視し、遅れをとらないための戦略的対応
まとめ
全国最低賃金が1121円に引き上げられることは確かに前進です。しかし、国際水準から見ればまだ遅れており、物価上昇を考慮すれば実質的な生活水準の改善にはつながっていない可能性があります。
「すべての県で1000円超え」というニュースに満足するのではなく、これが真の賃金改善の出発点となるよう、政治と社会全体で取り組んでいく必要があるでしょう。持続可能な賃金上昇メカニズムの構築が、今ほど求められている時はありません。
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