
長崎県内で発生した、過去最高額となる時価4億円相当の金塊(金地金)がだまし取られたという痛ましいニセ電話詐欺事件。平戸市内の80代女性が警察官や検察官をかたるプロの詐欺グループの手に落ちたという報道は、私たちに大きな衝撃を与えました。
この事件に対し、SNSなどでは「なぜ簡単に信じるのか」「防犯意識が低い」といった、被害者を責めるような心ない書き込みが見受けられるといいます。
しかし、私たちはここで一度立ち止まり、冷静に考えてみる必要があります。
被害者は「アマチュア」、加害者は「プロ」である現実
詐欺グループは、その活動を**「仕事」としています。彼らは24時間、どうすれば人を騙せるか、どうすれば不安を煽り、信じ込ませることができるかを考え抜いています。彼らは、人の心理の隙間を突き、社会の信頼構造を悪用する、いわば「騙しのプロフェッショナル」**です。
一方、被害に遭われた一般市民の方々は、詐欺への対応においては**「アマチュア」**です。
私たちの中に、四六時中、詐欺の手口や防犯対策について考え続けている人がいるでしょうか?
日常生活を送り、仕事や趣味に励み、家族との時間を大切にしている中で、突然、プロの仕掛けた罠に絡め取られてしまうのです。
今回の事件も、その手口の巧妙さが見て取れます。
- 不安の創出: 「あなたの通帳と携帯電話が犯罪に使われている。これは詐欺罪になる」と、まず罪の意識や強い不安を植え付ける。
- 権威の悪用: 警察官、検察庁の「エゴシ」といった公的機関や権威ある肩書きを名乗り、話に信憑性を持たせる。
- 日常的な接触: 毎日のように電話をかけ続けることで、被害者の判断力を鈍らせ、詐欺グループの存在を日常の一部として受け入れさせる。
- 現金の代わりに金塊を要求: 金塊(金地金)という現金の追跡を難しくする高額資産を要求し、捜査を撹乱しようとする意図も伺えます。
この緻密で執拗な手口の前では、「防犯意識」の一言で片付けられるほど簡単な問題ではないのです。
悪なのは、常に加害者である
私たちが絶対に忘れてはならないのは、悪いのはあくまでも加害者である詐欺グループであるということです。
被害者非難は、本質的な問題から目を逸らさせるだけでなく、
- 真の悪人を見逃してしまうリスク: 詐欺師の巧妙さや社会構造の課題ではなく、被害者の落ち度ばかりに注目が集まる。
- 被害の潜在化: 「自分が騙されたことを他人に知られるのは恥ずかしい」という思いから、被害に遭っても警察や家族に相談せず、事件が表面化しない。
といった深刻な二次被害を生み出します。
私たちが今、できること
長崎県警の発表によれば、今年、県内で認知されたニセ電話詐欺事件は180件(10月末現在)。そのうち64件が今回と同様の「警察や検察をかたり、不安をあおる手口」でした。
プロ集団に対抗するには、私たちも「一人で戦わない」という意識を持つ必要があります。
- 📞 相談する習慣を持つ: 「電話やメールでお金の話をされたら必ず家族や警察に相談してほしい」という県警の呼びかけは、まさにプロ集団への最良の対抗策です。権威ある名を名乗られても、即座に信じず、**「一度電話を切って、自分でその機関の番号を調べ直す」**といった冷静な行動が必要です。
- 📢 高齢者とのコミュニケーション: 特に電話による詐欺のターゲットになりやすい高齢の家族や知人に対し、日頃から「不審な電話があったら必ず教えて」と伝え、相談しやすい環境を作ることが重要です。
この悲しい事件を、「ひと事」や「被害者の落ち度」として終わらせるのではなく、**「プロ集団の脅威」**として認識し、地域全体、家族全体で詐欺対策のレベルを引き上げるきっかけとしなければなりません。
被害に遭われた方へ心からの見舞いを申し上げるとともに、私たち一人ひとりが、巧妙な詐欺から身を守るための警戒を強めていく必要があります。
Let’s redoing!
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