昨日は少し楽しいハロウィーン。
そんな中、鳥取県でほっこりすると同時に、ハッとさせられるニュースが飛び込んできました。
「パンプキン（還付金）詐欺に気を付けて」
ハロウィーンのシンボルであるカボチャのお化け「パンプキン」と、「還付金」をかけたこのネーミング。鳥取署と地元の幼稚園児たちが、イオンモールで買い物客に向けて、詐欺防止を呼びかけたのです。
警官と、仮装したのかもしれない園児たち、合わせて15人が、
「電話でお金の話をするのは詐欺なので注意してください」
と声をかけ、啓発グッズを配りました。
6歳の野崎結杜ちゃんの
「たくさん配ることができた。大人の人たちは気を付けてほしい」
という言葉が、胸に刺さります。
可愛らしい啓発活動の裏にある、緊迫した現実
このほのぼのとした光景の背景には、看過できない現実があります。鳥取県警の発表によると、還付金詐欺を含む特殊詐欺の認知件数は、前年同期の約1.8倍にも急増しているのです。
「還付金詐欺」とは、役所や銀行などをかたって「還付金（返金）があります」と電話で誘い出し、ATMで操作させてお金をだまし取る手口。オレンジ色の警告は、まさに「トリック・オア・トリート」（お菓子をくれなきゃイタズラするぞ）ならぬ、「警戒しなきゃ、大切な財産を取られるぞ」というメッセージなのです。
なぜ、今、子どもたちの声なのか？
警察の広報だけではなかなか届かない層に、このメッセージを届けるための、非常に効果的な施策だったのではないでしょうか。
忙しい日常を送る大人たちは、ニュースで「詐欺に注意」と聞いても、「自分は大丈夫」と過信しがちです。しかし、無邪気な子どもたちから直接「気を付けてね」と声をかけられれば、誰もが優しい気持ちになり、その言葉を素直に受け止めやすくなるものです。
子どもたちの純粋な願いが、大人の「面倒臭い」「大丈夫だろう」という心理のハードルを、そっと下げてくれます。これは、単なるイベントではなく、深い心理に働きかける優れた啓発活動だったと言えるでしょう。
「少しでも詐欺被害の認識が広がれば犯罪は減ります」
この言葉こそが、すべてを集約しています。
詐欺は、被害者の「無知」と「隙」をねらって成立します。つまり、私たち一人ひとりの「認識」と「警戒心」が、最も強力な防犯ツールなのです。
特殊詐欺の手口は、年々巧妙化しています。しかし、根幹は変わりません。
・不審な電話がかかってきたら、まずは「怪しい」と疑う。
・電話で「お金」や「個人情報」の話が出たら、ほぼ100%詐欺だと思う。
・相手が焦らせたり、秘密を守るように言ってきたりしたら、さらに怪しい。
鳥取署の西原課長もおっしゃっています。
「不審な電話がかかってきたら、最寄りの警察署に相談してほしい」
たった一通の相談が、大きな被害を未然に防ぐことができます。一人で悩まず、必ず周囲の人や警察に相談する——これが、詐欺師から身を守る最強の盾です。
ハロウィンの夜に考える、本当の「怖い話」
ハロウィンでは、お化けや魔女が街を練り歩きますが、本当に「怖い」のは、現実世界に潜み、私たちの生活を脅かす犯罪かもしれません。
子どもたちが配ってくれた啓発グッズと温かいメッセージを、単なるイベントで終わらせてはいけません。この小さな警告を、自分事として受け止め、家族や友人と話し合うきっかけにしたいものです。
「電話でお金の話が来たら、どうする？」
と、ご家庭でぜひ一度、確認してみてください。
仮装した子どもたちの可愛らしい声が、皆さんの大切な財産と平和な日常を守る、本物の「お守り」になりますように。
この記事をシェアして、詐欺被害の「認識」を、さらに広げていきましょう。
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