
「もしもし、私は警察官ですが、あなたの口座が不正利用されています」
このような電話がきっかけで多額の現金をだまし取られる「オレオレ詐欺」や「なりすまし詐欺」は、テレビのニュースで頻繁に報じられ、社会的な認知も広がってきました。
しかし、実際に桁違いの被害額に上っているのは、実はもっと巧妙で、被害者にじっくりと仕掛けられる「SNS型投資詐欺」なのです。
過去最大級の被害事例が物語るもの
今回ご紹介した最上地方の70代男性のケースは、その恐ろしさを如実に物語っています。
被害総額:9,524万円
では、男性はどのようにしてこれほどの大金を騙し取られてしまったのでしょうか。その手口を見てみましょう。
巧妙な手口のステップ
- きっかけは「インターネット上の投資サイト」:男性は、偶然見つけた株式投資サイトに興味を持ちました。
- LINEグループへの誘導:サイト内のURLから、いわゆる「儲け話」が飛び交うLINEグループに参加します。
- 役割分担による信頼獲得:グループ内では、「先生」と呼ばれる人物が有利な株情報を提供し、「アシスタント」が購入方法を教えるなど、組織的な演出がされていました。
- 個人へのコンタクトと「特別感」の演出:男性が興味を示すと、アシスタントから「別の人物」を紹介され、直接のやりとりが始まります。これにより、「自分だけが特別な情報を得ている」という錯覚に陥らせます。
- 「機関口座」という虚構:相手の指示で、一見正式なもののように見える「機関口座」を開設させられます。
- 直接現金受け渡しという大胆さ:最も驚くべきは、証券会社の社員を名乗る女性が自宅まで訪ねてきて、現金7,700万円を受け取ったという点です。この「直接対面」という行為が、詐欺に対する疑いを一気に払拭してしまいます。
- 利益引き出しを餌にした追加請求:いよいよ利益を引き出したいと伝えると、今度は「指導料」として約1,824万円を要求され、同じ女性に現金を手渡しました。
男性が被害に気づいたきっかけは、別の詐欺事件の捜査で警察から連絡が来たことでした。これがなければ、さらに被害が膨らんでいた可能性もあります。
なぜSNS投資詐欺は危険なのか?
従来の電話詐欺と比較して、SNS投資詐欺には以下のような特徴があり、被害が長期化・巨大化しやすい傾向があります。
- 時間をかけた信頼構築:一方的な電話と違い、LINEやSNSで日常的にやりとりし、ゆっくりと信頼関係を築いていきます。
- コミュニティによる心理的操作:LINEグループ内では、サクラ(他の参加者を装った詐欺師仲間)が「先生、ありがとうございます!」「大きな利益が出ました!」などと盛り上がり、疑う余地をなくします。
- 「儲かっている」という錯覚:架空の取引画面や偽の利益報告を見せられ、「実際に利益が上がっている」と錯覚させられ、より多くの資金を投入させられます。
- ロマンス詐欺の要素の融合:場合によっては、アシスタントを名乗る人物と恋愛関係のようなものを築かせ、感情的に抜け出せない状態に追い込む「ロマンス詐欺」の要素が混ざることもあります。
- 直接対面による最終的な信頼確認:今回のケースのように、実際に人物が現れることで、これまでに抱いていたわずかな疑念も吹き飛んでしまいます。
あなたを守るための3つの心得
- 「絶対儲かる話」は存在しない
そんな都合の良い話が、見ず知らずのあなたに簡単に舞い込んでくることは絶対にありません。不確実なSNSやLINEの情報を元に多額の投資をすることは、極めて危険です。 - 「現金の直接手渡し」は100%詐欺のサイン
金融機関や正式な証券会社が、個人宅に社員を派遣して現金を回収することは絶対にありません。この時点で明らかな詐欺です。 - 「誰にも言うな」は詐欺師の常套句
詐欺師は、「これは特別な情報だから家族や友人には内密に」と指示してきます。これは、あなたの周りの人が冷静な判断でストップをかけられるのを防ぐためです。
もしも疑いを持ったら……「恥ずかしがらずに相談を!」
最も危険なのは、「騙された自分がバカみたい」「恥ずかしい」という感情で、一人で悩み、相談することをためらってしまうことです。
決して忘れないでください。
悪いのは、100%あなたを騙そうとしている詐欺グループです。被害者は何も悪くありません。
まずは、ご家族や信頼できる友人に話してみてください。そして、迷わず最寄りの警察や消費生活センターに相談しましょう。あなたのその一歩が、大きな被害を食い止めることになります。
「もしかして?」と思ったその瞬間が、助かるチャンスです。私たちは、テレビでよく見る詐欺だけでなく、このような「新型」で「巧妙化」した詐欺に対しても、常にアンテナを張り、情報を共有していく必要があります。
泣き寝入りは絶対にせず、まずは相談することから始めましょう。
Let’s redoing!
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