
詐欺被害に遭った人を責める声を、いまだに目にすることがあります。
しかし、何度でも強調したいのは 「悪いのは被害者ではなく、巧妙な手口で人を欺く加害者」 だということです。
実際に最近、佐賀県の50代男性が SNS型の副業詐欺で2度も被害に遭う という痛ましいケースがありました。
ただし「二度も騙されるなんて」と言うのは簡単ですが、詐欺師たちは一般の人では到底太刀打ちできないほど巧妙な心理操作を駆使する“詐欺のプロ”です。
一度騙せた相手には「まだ利益が取れる」と確信し、さらに執拗に狙いを定めてくるのが彼らの常套手段なのです。
◆ 1回目の詐欺:「動画を見るだけで稼げる」甘い言葉の裏側
最初の詐欺は今年7月上旬。男性はSNSで知り合った人物から、
「動画を見るだけで簡単に稼げる」
という、一見すると手軽で危険が少なそうに見える副業を紹介されました。
そこから別のSNSアカウントへ誘導され、女性を名乗る人物と連絡を取るようになります。
さらに“高単価の情報を教える先生”として、別の日本人女性のアカウントが登場。
複数の人物を登場させて登場人物を増やし、「信頼できる仕組み」を装うのは詐欺師の典型的手口です。
男性は指示された作業を続けていましたが、
- 指示に従わなかった「罰則金」
- 出金手続きに必要な「費用」
などの名目で、7月26日~11月21日までの間に8回、合計160万円を振り込まされました。
もちろん、実際には“罰則金”も“手続き費用”も存在しません。
すべて詐欺師が作った架空のストーリーです。
◆ 2回目の詐欺:今度は「音楽を聴くだけで稼げる」別の副業話
そしてもう一つの被害は7月中旬。
別のSNSで知り合った人物から、
「音楽を聴くだけで稼げる副業がある」
と誘われました。
ここでも別SNSに誘導され、今度は日本人女性を名乗る人物とのやり取りが始まります。
「有料配信される音楽情報に関する作業を5回こなす必要がある」と説明され、そこに“作業ミス”があったとして、
「復旧するために、後で返金される補塡金100万円が必要」
と支払いを求められました。
結果、11月3日~13日までに6回、合計109万円を振り込まされました。
◆ なぜ同じ人が2度被害に遭うのか?
→それは詐欺師が「確信を持って狙い続ける」から
二度被害に遭ったという情報だけを見ると、
「どうして気づかなかったの?」
と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、これだけは絶対に誤解してはいけません。
詐欺師はプロです。
- 心理操作
- 信頼の積み上げ
- 役割分担された複数アカウント
- 恐怖や焦りを煽る話術
- “返金”や“罰則”などの偽装ストーリー
これらすべてを駆使し、「騙されるように誘導」してきます。
さらに一度騙された人は、詐欺師にとって“成功例”です。
彼らは内部で情報を共有し、
「この人は信じやすい。再アタックすれば成功する」
と確信したうえで再び接触してきます。
これは、被害者側の責任では全くありません。
彼らは専門家レベルの技術で人を操る犯罪集団なのです。
◆ 警察からのメッセージ:SNSの副業話は“詐欺の可能性が高い”
唐津署も防犯メールで警鐘を鳴らしています。
- 「SNSを利用した副業あっせんは詐欺の可能性が高い」
- 「メールやSNSでお金の話が出たら、直ちに詐欺を疑う」
- 「家族や警察にすぐ相談してほしい」
SNS経由で“簡単に稼げる話”はほぼ100%詐欺だと思って構いません。
まともな副業や投資が、SNSのDMや匿名アカウントから始まることはありません。
◆ 被害を防ぐためにできること
✔ 「簡単に稼げる」はすべて疑う
動画を見るだけ、音楽を聞くだけ——そんな都合の良い仕組みはありません。
✔ SNSで知り合った人を信用しない
アイコンも名前も性別も、全て“演技”可能です。
✔ “罰金”“手数料”“復旧費用”は詐欺の定番
存在しない作業ミスを理由にお金を要求するのは典型。
✔ 一人で抱え込まない
家族や警察への相談が、被害を止める最大の防波堤です。
◆ 最後に:被害者を責める社会では、詐欺はなくならない
詐欺問題で最も不幸なのは、
被害者が「自分が悪い」と思い込み、相談できなくなること です。
しかし本当は逆で、
悪いのは 巧妙に人の心理を操り、金をむしり取る詐欺師だけ です。
今回の件は、その構造を理解するうえでも重要な事例です。
どうか周りに同じような人がいても責めず、「相談しやすい環境」を作ってあげてください。
そして何より、あなた自身もどうか気をつけてください。
SNS上には、あなたの善意や不安につけ込む“プロの詐欺師”が常に潜んでいます。
Let’s redoing!
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