現在の画像に代替テキストがありません。ファイル名: 8-1.png

「騙すつもりはありません」

この言葉を聞いて、どのような印象を持つだろうか。詐欺事件の報道で、この言葉が繰り返し使われるのを見るたびに、私は歯がゆさを感じずにはいられない。

先日も、仮想通貨を巡る投資詐欺で逮捕された愛知県大府市の会社役員の男性が、名古屋地検によって不起訴処分となった。男性は「NFTゲーム」への投資話として「月利4%保証」「元本保証」などのうその話で100万円をだまし取った疑いで逮捕されていた。しかし、取り調べでは「だましたつもりはありません」と容疑を否認。結果は不起訴だ。

繰り返される「騙すつもりなし」の言い訳

これは決して新しい手口ではない。私がこれまで見てきた多くの詐欺事件で、この「騙すつもりはなかった」という言い訳が繰り返し使われてきた。特に投資詐欺では、「事業が予想外に失敗した」「市場環境が急変した」などの理由で「最初から騙す意図はなかった」と主張するパターンが多い。

法律の専門家であれば、詐欺罪の成立には「不法領得の意思」が必要であることを説明するだろう。つまり、単に嘘をついただけでは詐欺罪にならず、最初から他人の物を不法に取得する意思があったことを立証する必要がある。この「主観的要素」の立証の難しさが、多くの詐欺師にとって抜け穴になっている。

なぜこの言い訳が通るのか

司法の現場では、被疑者の主観的意図を立証することは容易ではない。客観的に見れば明らかに虚偽の説明をしていても、被疑者が「自分は本当に成功すると思っていた」「当時はそれが真実だと思っていた」と主張し続けると、検察官は有罪立証に必要な証拠を揃えることが難しくなる。

今回の仮想通貨投資案件でも、「月利4%保証」や「元本保証」という言葉自体は明らかに虚偽だったかもしれない。しかし、被疑者が「当時は本当にその利益が出ると信じていた」と主張し、それを覆す確固たる証拠がなければ、不起訴もやむを得ない判断なのかもしれない。

被害者の無念

しかし、このような司法の「隙間」をすり抜けることで、実際に金銭的被害を受けた人々はどうすればよいのだろうか。100万円を騙し取られた刈谷市の男性会社員の無念さは計り知れない。法的には「民事訴訟」という手段が残されているかもしれないが、時間も費用もかかる上、執行可能性も不確かだ。

「騙すつもりはありません」という言葉の背後には、巧妙に法律の隙間を突こうとする詐欺師の計算が見え隠れする。これはまさに、詐欺師のお決まりのフレーズとして認知されている。

法改正の必要性

この問題に対処するためには、法改正を含む制度的な対応が必要ではないだろうか。具体的には、客観的に見て明らかに虚偽の情報提供を行い、それによって財産的被害が生じた場合には、被疑者の主観的意図に依存しない新たな罪を設けることも検討すべき時期に来ている。

投資勧誘における虚偽説明そのものを違法行為として明確に位置づけ、刑事罰の対象とすることも一案だ。金融商品取引法には一定の規制があるが、仮想通貨や新たな技術を利用した投資スキームには対応しきれていないのが現状である。

私たちにできること

法改正を待つ間、私たち投資家にできることは何だろうか。まずは、「元本保証」「高利回り保証」といった言葉に飛びつかない冷静さが必要だ。特に仮想通貨やNFTなど新しい分野では、不確実性が高く、値動きも激しいことを理解しておくべきである。

また、投資話を持ちかけられたら、必ず第三者機関に相談し、情報の真偽を確認する習慣をつけることが大切だ。自治体の消費生活センターや金融ADR制度など、利用できるリソースは多数ある。

まとめ

「騙すつもりはありません」という言葉が、現行の司法制度の下で有効な防御策として機能し続ける限り、巧妙な詐欺師はのうのうと生き延び、新たな被害者を生み出し続けるだろう。今回の不起処分は、そのような現実を改めて浮き彫りにした。

被害者を増やさないためには、法制度の改善と同時に、私たち一人ひとりの投資リテラシーを高めることが不可欠だ。うまい話には必ずリスクが伴う。その基本原則を忘れず、冷静な判断ができる社会づくりが求められている。

Let’s redoing!

#詐欺被害 #貧困層 #マイノリティ #弱者 #人権 #年収 #障害者 #ビジネス #再スタート #挑戦 #言葉

投稿者

だるまmob

2025年1月にSNS型投資詐欺により2億円を失った無職50代です。 過去は変えられませんが未来は変えられますと信じ、 何とか立ち上がろうとしている毎日です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)