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「また高齢者が騙された」「呆れた」「そんなうまい話あるわけない」
香川県で発生した1億円超のロマンス詐欺事件を伝えるニュースに、そんな冷ややかなコメントが並びました。しかし、こうした反応こそが、現代の詐欺がどれほど高度化しているかを理解していない証拠ではないでしょうか。

プロの詐欺師は、あなたが思っているよりはるかに手強い

この事件を「被害者が愚かだった」と断じるのは、あまりに短絡的です。これは単なる「お人好しなお年寄り」の話ではありません。心理学と最新テクノロジーを駆使した、組織的かつ計画的な犯罪なのです。

被害にあった70代女性は、いきなり投資話を持ちかけられたわけではありません。まず「恋愛」という、人間の根本的な欲求に訴えかける関係を、時間をかけて築き上げられていました。

巧妙な3段階の手口:

  1. 信頼構築フェーズ
    Facebookで知り合い、LINEへ移行。毎日のメッセージで「理想のパートナー」を演じ、絶対的な信頼を獲得します。
  2. 心理的誘導フェーズ
    「投資の勉強をしてみよう」という、一見相手を思う提案から始まります。最初の20万円は「慣らしの金額」。この小さな一歩で心理的ハードルを下げ、「問題がない=本当かもしれない」という確信を植え付けます。
  3. 収束フェーズ
    偽の投資アプリで残高が増えているように見せかけ、「もっと投資すればさらに儲かる」と誘導。14回も送金を続けてしまったのは、「サンクコスト効果」(投じた資金を惜しみ、やめられなくなる心理) と、恋愛感情による「正常性バイアス」(都合の悪い事実を無視する心理) を利用されたからです。

メジャーリーガーの球を素人が打てないのと同じ

私たち素人がプロ野球選手の剛速球を打ち返せないのと同じで、一般の人がプロの詐欺師の罠を簡単に見抜けるとは限りません。

彼らはこれを「仕事」として、日夜手法を研究しています。台本があり、役割分担があり、最新技術を利用します。対する被害者は一個人。この力関係は明らかに非対称なのです。

本当に評価すべきは「銀行員の気づき」

この事件で最も注目すべきは、女性が新規口座を開設しに行った際に不審を感じ、警察に通報した銀行員の存在です。これは、詐欺被害を防ぐ社会的なセーフティネットが機能した好例です。

「騙される方が悪い」という考え方は、社会的問題を個人の責任に転嫁し、犯罪者側の罪を軽んじることにつながりかねません。

私たちにできること

被害者を非難する代わりに、考えてみてください:

  • 周囲に相談できずにいる人はいないか
  • 家族や友人と詐欺の手口について話し合ったことがあるか
  • 不審な話を持ちかけられた時、相談できる相手がいるか

次に同じようなニュースを目にした時、ぜひこう考えてみてください:
「また、人の心の隙を狙うプロの犯罪者がいたのか。私の周りに、この手の罠に引っかかりそうな人はいないか?」

責めるべきは被害者ではなく、巧妙な手口で他者を利用する詐欺師たちです。社会全体でこの問題に向き合う時、はじめて被害を食い止めることができるのです。

Let’s redoing!

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