
「介護保険料の還付金がある」と偽り、60代女性から約50万円をだまし取ったとして逮捕された43歳男性が、東京地検によって不起訴処分となった。このニュースに「なぜ?」という疑問と怒りを感じた方は少なくないでしょう。
事件の概要
2022年、男性は仲間と共謀し、市役所職員などを装って女性に連絡。「介護保険料の還付金がある」と嘘をつき、ATMで約50万円を振り込ませました。男性は今年9月に警視庁に逮捕されましたが、東京地検は今月20日付で不起訴処分を決定しました。
「証拠不足」という壁
検察が公表した不起訴理由は「必要な捜査を遂げたうえで証拠関係を踏まえて判断した」というものです。一見、官僚的な回答に聞こえますが、ここに刑事司法の核心があります。
刑事事件では、被疑者が「有罪であること」が100%明らかでも、それを法的に立証できる証拠が揃っていなければ起訴できません。今回のケースでは、以下のような証拠的な課題があった可能性があります:
- 共犯者との具体的な共謀関係を立証する証拠の不足
- 被疑者の関与を直接証明する物的証拠の欠如
- 被害者からの識別や状況証拠だけでは立証不十分という判断
検察のジレンマ
検察官は「起訴相当」と判断した事件のみを起訴します。これは、無実の人を不当に訴追しないという推定無罪の原則に基づくものです。しかし、この判断基準が時に「明らかな犯人」を逃す結果となることも事実です。
特に詐欺事件では、次のような特徴から立証が困難になりがちです:
- 組織的な犯行の場合、末端の実行犯だけでは全体像が掴めない
- 証拠隠滅が容易で、金銭の流れが追いにくい
- 被疑者が黙秘権を行使すると、立証手段が限られる
私たちが知るべき現実
このような不起訴処分が「検察の詐欺司法」のように感じられる気持ちは理解できます。しかし、司法制度は完璧ではなく、時にこのような結果を生み出すことも事実です。
重要なのは、この現実を理解した上で、私たち自身が詐欺被害に遭わないための対策を強化することです:
- 公的機関を名乗る不審な電話には絶対に応じない
- 還付金や給付金を装う要求には直接該当機関に確認する
- ATM操作を指示する電話はすべて詐欺の可能性ありと疑う
制度の改善と私たちの意識
不起訴処分が続くことで、詐欺グループは「捕まっても不起訴になる」と学習し、より巧妙な手口を開発する可能性があります。これはまさにご指摘の通り、詐欺被害の増加につながりかねない危険な傾向です。
司法制度の改善と同時に、私たち市民の防犯意識の向上が不可欠です。高齢者をターゲットにした特殊詐欺は後を絶たず、今回のような不起訴処分のニュースが被害者やその家族に与える精神的打撃は計り知れません。
「明らかな犯行」が法的に立証できないという現実は、司法制度の限界を示しています。しかし、この現実を直視し、制度の改善を求めるとともに、私たち一人ひとりが詐欺被害の防止に向けて行動することが、結局は最も効果的な対策なのかもしれません。
Let’s redoing!
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