
警視庁少年事件課が先月10日、仙台市に住む高校1年生の男子生徒(15)を詐欺容疑で再逮捕した。彼は「ロマンス詐欺」の手口で、30代男性に女性になりすまし、電子マネーなど計134万5000円をだまし取ったという。逮捕時の供述では、「オンラインカジノを続けるためにお金が欲しかった」「30人以上から500万円以上だまし取ったと思う」と語っている。
驚くべきは、彼が中学生の頃からこの詐欺を繰り返していたことだ。昨年2月から今年3月までの間に、被害者から計141回、総額約288万円を受け取っていたとみられる。すでに8月以降、詐欺容疑で2回逮捕されており、今回は3度目の逮捕となった。
「悪戯感覚」が招く、取り返しのつかない現実
この事件を読んで、皆さんは何を思うだろうか。「15歳でそんな大金を?」「オンラインカジノにハマるなんて」―確かにそうした側面もある。しかし、もっと注目すべきは、「インターネット上のふとした悪戯が、人生を大きく狂わせる」 という現実だ。
男子生徒はおそらく、最初は「ちょっとしたイタズラ」のつもりだったかもしれない。ネット掲示板で知り合った相手に、別人の動画を送ってみる。それが思ったより簡単に信じてもらえ、お金まで送られてくる。やがて「ばれないだろう」という慢心と、カジノという依存性の高い遊びが重なり、エスカレートしていったのだろう。
しかし、その行為は明らかに犯罪であり、たとえ15歳であっても、そこには重大な責任が伴う。
逮捕のその先に待ち受ける「二重の責任」
この男子生徒が今後負わなければならない責任は、主に二つある。
1. 刑事責任―「少年法」の下で進む手続き
15歳は刑事未成年ではあるが、詐欺罪は14歳以上であれば刑事責任が問われる。彼はすでに複数回逮捕され、今回は「再逮捕」だ。これは、新たな嫌疑が認められたことを意味する。
少年事件では、家庭裁判所に送致され、審判を受けることになる。その結果によっては少年院送致も現実的な選択肢として浮上する。特に、計画性が高く、被害額が大きい本案では、「保護」の名の下に、行動の制限や矯正教育を受けることになる可能性が高い。
「まだ子どもだから」という甘い認識は、もはや通用しない。
2. 民事責任―「借金」として長く付きまとう金銭的負担
詐欺で得たお金は、当然ながら被害者に返還しなければならない。逮捕や処分以上に、彼の人生に長く影を落とすのがこの民事上の賠償責任だ。
総額500万円以上ともいわれる被害額は、未成年であっても免責されない。彼が将来、就職して収入を得られるようになれば、被害者から民事訴訟を起こされ、給与の差し押さえ等によって返済を迫られることもあり得る。これは数十年単位で続くこともある、重い十字架なのである。
メディアがもっと伝えるべき「犯罪のその後」
私たちメディアは、時に「逮捕」という劇的な瞬間だけを報じがちだ。しかし、読者や社会にとって本当に必要なのは、「その先にある現実」 ではないだろうか。
- 逮捕され、送致され、審判を受けるとはどういうことか。
- 少年院での生活はどのようなものか。
- 多額の賠償責任を負うことが、その後の人生設計にどう影響するか。
こうした具体的な現実を、もっと多くの若者に知ってほしい。「バレなきゃいい」「お金が簡単に手に入る」という安易な考えが、いかに自分自身の未来を台無しにするか―。それを伝えることは、同じ過ちを犯しそうになる子どもを一人でも減らす、予防の役割を果たすはずだ。
まとめに代えて
仙台の高校生が歩んだ道は、残念ながら決して珍しいものではない。SNSや匿名性の高いネット環境が当たり前になった今、「画面の向こう側の相手」がリアルな人生を送っていること、「オンライン上の行為」がオフラインの重大な結果を生むことを、私たちはもっと真剣に考えなければならない。
「悪戯感覚」のその先に、人生を大きく踏み外す崖がある。この事件が、多くの若者とその保護者にとって、インターネットと犯罪の危険な境界線について考えるきっかけとなることを願ってやまない。
Let’s redoing!
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